教養としてのラテン語の授業
ラテン語を通して古代ローマと自分たちを知る授業 昨年からずっと読みたいなーと思っていてなかなか手に取れなかった1冊をご紹介したいと思います。 ”教養としてのラテン語の授業ー古代ローマに学ぶリベラルアーツの源流(ハン・ドンイル著/本村凌二 監訳/岡崎暢子 訳)” です。 原著者は韓国の方で、韓国人初・東アジア初のロタ・ロマーナ(バチカン裁判所)の弁護士であった方です。韓国の西江大学のラテン語の講義を担当しており、その講義には一般人も聴講に訪れるほどの人気だった…ということで、その講義をまとめた1冊になります。 ラテン語の授業…とは言いつつ、本書で紹介するのは 「ラテン語を通して知る古代ローマの歴史・そして現代の私たちを内省する哲学」 のようなもの。 堅苦しくなく、ハン・ドンイルさんの実体験や学びを通して紡がれる言葉が”生きること”を励ましてくれる。そんな本です。 こんな人におすすめ ラテン語・言語に興味がある人 古代ローマの歴史・哲学が好きな人 人生を歩くことに疲れ気味の人 概要 文章の構成 計28章というなかなかのボリュームなのですが、1つ1つはそれほど長くありません。 基本的な構造は、 ①導入: 古代ローマの歴史や、ハン・ドンイルさんが留学中に体験したこと、また 韓国で教鞭をとる中で気づいたことなどをラテン語と絡めて紹介。 ②気づき: 歴史と実体験を振り返って得た学びを紹介。 ③読者への問いかけ: 人生の指南書のようなメッセージ。自問自答のススメ。 となっています。 文章は口語的で易しさ・優しさがあり、随所に励ましの言葉をちりばめてくださっています。ラテン語の授業と言いつつ、本書ではラテン語を通して歴史・哲学・宗教を知るという教養本。 読んでいて印象的なのは、著者のたゆまぬ勉強・洞察から生み出される言葉たちです。 「謙虚さ」 のにじみ出ている文章は、とても優しい気持ちにさせてくれます。 学生たちに向けて、 学ぶ時の心構え 自分との向き合い方 挫折との付き合い方 を教えてくれていますが、これは学生にとどまらずどの年代の人にも響くことでしょう。 偉大なる幼稚さを持て 人生において学問に打ち込むとき、高尚な大義名分は必要ない、と著者は語っています。ちょっと見栄を張りたいくらいの気持ちでかまわない。大事なのは、 P29