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世界のニュースを日本人は何も知らない

 マスコミのつくる虚像に騙されずに見つめてみよう いよいよ2022年が終わろうとしているところですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか? 今日ご紹介するのは、 ”世界のニュースを日本人は何も知らない(谷本真由美 著/ワニブックス)” という本です。 こちらでは、日本で大々的に報道されることのない世界の国々のニュースを、イギリス在住で国連のお仕事にも携わっていた谷本真由美さんからの視点で紹介しています。 もちろんこの本も1つの見かたではありますが、知っておいたほうが良いであろう情報が満載です。すでにシリーズ4冊目に到達しておりますが、今日は主に1冊目の本を覗いていきましょう。 こんな人におすすめ 日本人の知らない、世界のニュースに興味がある方 将来的に別の国に住んでみたいと考えている方 正しい情報を収集する方法を知りたい方 概要           文章の構成           著者である谷本真由美さんが直接見聞きした世界の情報と、谷本さんの海外の友人たちから得られた情報がこれでもかというほど詰まったシリーズです。 序盤は、日本人がなぜ世界のニュースを知らないのか?その原因となる部分を解説してくれています。 日本のメディアの問題、日本人の性質の問題、日本という国の地形上の問題など、よく言われていることではありますが、改めて確認することができます。 その後、実際世界ではどんなトピックが取り上げられているのか?その内容をどんどん紹介していく構成です。 ※もちろん根拠に基づいた情報ではあるのですが、主観的な表現もあると思いますので、情報を過度に信用せず、批判的に読み進めましょう。 日本という国の問題       ざっくりとまとめてしまうと、以下のような点が世界のニュースを遮断しているとされています。 日本のメディアが非常に閉鎖的 海外のことを知らなくても国内市場だけで食べていける 隔離された島国には外国人が少ない 受け身に生きている 日本のメディア・マスコミが伝える情報が偏っていることは、よく言われていますね。そして、ほぼ単一民族で生きることができる島国では、海外と関わる仕事が必要にならない限り、自国の中のことだけで完結して生きることができてしまう。 「これからの時代は世界を見据えて…!」と声高にあらゆる業界で語られていますが、日本は国として安定している側なので、緊迫した状

ミライをつくろう!VRで紡ぐバーチャル創世記

VRを広めようと奮闘する著者のパワー  メリークリスマス!(本日は2022年12月24日クリスマスイブです) 今日の記事は、 ”ミライをつくろう!VRで紡ぐバーチャル創世記(GOROman著/西田宗千佳 編/翔泳社)” の紹介です。 VRにはまったく詳しくないのですが、映像の中に自分が入り込む体験型のゲーム…という認識はありました。 VRが日本で広まるまでには色々な人の想い・行動があったことをこの本で知りましたね。 「このすごい技術を日本の人に伝えたい!」 というエネルギーがよく伝わる一冊です。 こんな人におすすめ VRに興味のある方 プログラマー・エンジニアに興味のある方 将来の仕事について考えたい方 概要           文章の構成           前半は、著者であるGOROmanさんの伝記のような内容です。どのような人生を歩み、VRに辿り着いたのか?紆余曲折に共感できる人も多いと思います。 後半になると、VRをビジネスにしようと決意し奮闘していく様子や、将来VRをはじめ様々なIT技術が生み出すであろう可能性のお話が中心になります。 どのお仕事にも一長一短があると思いますが、将来の仕事について考える一助となってくれるでしょう。特に学生の方が読みやすいと思います。 GOROmanさんの子ども時代    GOROmanさんの子ども時代は、とにかく「バラす」ことが大好きだったようです。動いているものは仕組みが気になって仕方がない・説明書を全部読んですべての機能を理解していないと気が済まない…すでに、エンジニアの血筋・環境が整っていたようです。 あらゆる「何かを成す人」というのは、 とにかく熱中できるもの を1つ以上お持ちですよね。GOROmanさんにとってはそれがエンジニアの道だった。 平々凡々に生きて、何も手にすることなく過ごしてきてしまった者からすると、眩しい生き方。しかしお話に想像を膨らませ、追体験させてもらえることは嬉しい限りです。生きることに”熱”のある方のお話は、どれもワクワクしますね。 しかし一生懸命な人が何もかもうまくいくわけではありません。 ゲームプログラマーの道へ進んでいったものの、望んだ仕事ができずにいる日々が語られています。打開しようと本を読み漁って勉強して、自分がやりたいことを見つけていく。 その姿に励まされもすると思います。 VRで

運動脳

 運動によって脳は鍛えることができる 今日ご紹介するのは、 ”運動脳(アンデシュ・ハンセン 著/御舩由美子 訳/サンマーク出版)” という本です。 「スマホ脳」という本でもおなじみの、スウェーデン出身精神科医の著作。 「健康的な生活をしましょう」と言うと、 適度な睡眠 適度な運動 バランスの良い食事 の3つが必ず思い浮かぶと思います。しかし当たり前だからこそ、継続ができないものでもあります。 こちらの本は、運動の大切さ・いかにハードルが低く誰でもできることなのか、ということに気づかせてくれます。 こんな人におすすめ 運動が大事だとはわかっているけどなかなか行動できない人 脳の機能を落とさないためにできることを知りたい人 継続意欲が続かない人 概要           文章の構成           海外の著作で論文などをもとに述べていく本の特徴でもありますが、 言いたいことは序盤ではっきりしている その根拠をとにかくたくさんの研究報告・事例で厚くする という構成になっています。 脳を鍛える方法は、 非常にざっくり言ってしまえば、 心拍数を上げる運動を20分~30分/日 これが答えです。 いかに誰にでもできて、いかに脳に良い影響があるのか。これでもかと理由が並べられています。人によってはしつこく感じる人もいるかもしれませんが、個人的にはちょうど良く感じられました。 運動以外に考えられる対処法と比較してどちらがいいか?一般的に思いつきそうなことは網羅して説明してくれていると思います。 有酸素運動で海馬は大きくなる   ストレスは脳の機能を弱らせます。イライラは海馬を萎縮させ、記憶力を低下させる。 運動を行えば、逆に海馬は大きく成長する! というのがこちらの本が強く主張しているものです(もちろん限度はあるはずです)。 運動することがストレスのコントロールに役立ち、薬物療法を取り入れるよりも大きな結果を生み出してくれるようですね。 以前も紹介したことがありますが、ドーパミンやコルチゾールなどの機能を正常に働かせてあげることが重要です。 【参考】BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高くなる脳の状態とは(青砥瑞人 著) https://www.otonadokusho.com/2022/04/brain-driven.html 筋力トレーニングと有酸素運動の組み合わせ も

白い病

 戦争をやめさせるための攻防 以前カミュが描いた 「ペスト」 https://www.otonadokusho.com/2022/09/blog-post_18.html の記事を書きましたが、今回も感染症に関するお話です。 ”白い病(カレル・チャペック著/阿部賢一訳/岩波書店)” では、 「疫病×戦争」 をテーマに、 「戦争を率いる元帥vsたった一人の医師」 の攻防が描かれます。 ペストとはまた違い、疫病を利用して自分のエゴをぶつけ合う男たちの様子が描かれています。 こんな人におすすめ 疫病関連のお話に興味がある方 ラストのどんでん返しが好きな方 概要           文章の構成           フィクションではありますが、このご時世、まったく他人ごとではない話です。描かれたのは1937年とだいぶ昔ではありますが、名作SFとされるチャペックの作品です。 <おおまかなあらすじ> 戦争がまさに起きようとしている世界。そこで突如謎の病が流行する。 その病は「50歳以上の人間が死ぬ」というもの。世を支配している年配の人間たちは恐れおののき、治療法を求めていた。 そこに治療薬を開発したというガレーン博士という人物が現れる。人々は彼に治療してもらいたい・治療法を公開してほしいと望むが、彼は 貧しい人しか治療しない というポリシーがあった。さらに、この治療法を教える代わりに、 戦争をやめてくれ と迫る。果たして、人間たちは戦争をやめることができるのか…? ドキリとする疫病の設定     この病気の発症について、ジーゲリウスという医師は 中国発 だと言っています。…なんだか今の私たちの状況を彷彿とさせますよね。 さらに、この疫病は 「50歳以上の人間が感染して死ぬ」 というもの。それについて若者たちは、 P29 だって、今の若者にはチャンスがないの、この世の中に十分な居場所がないの。だから、私たち若者がどうにか暮らして、家族をもてるようになるには、何かが起きないとだめなの! と叫んでいる。 高齢化が進む世界のことを風刺しているかのような内容に、ドキリとしますね。 戦争と疫病の対比        感染すると、かなり惨たらしい死に方を迎えるこの病気。ジーゲリウスはチェン氏病という名前で呼ぶことにしています。感染者の臭いと血まみれの最期は、一般の人が見るに堪えないくらいの惨状ら