嫌われる勇気ー自己啓発の源流「アドラー」の教え

 人間関係に悩んだらまず読む1冊

私が読書を始めるきっかけとなった”嫌われる勇気(岸見一郎・古賀史健/ダイヤモンド社)”を紹介していきたいと思います。
あまりにも有名で、世界中で読まれている日本発のこちらの本。
生きるのが楽になる、そんな気持ちにさせてくれるはずです。

こんな人におすすめ

  • 人間関係に悩みがあり、対処法を探している人。
  • 性格的にまじめで、優等生だった人。



本の概要       

文章の構成

「人は今日からでも幸せになれる」と説く哲学者(哲人)と、それに納得のいかない悩み多き青年の二人が登場。二人の対話形式で進む本になっています。
文章としては易しく、どの年代の人でも読みやすいでしょう。

劣等感の生まれる原因にせまる

青年は幼いころから劣等感を抱いて生きてきた。
出自、学歴、容姿など、あらゆることで自分の短所ばかり見つめ、自分を好きになれないのです。
哲人は、それは実は青年が
「他者から嫌われ、自分が傷つくことを恐れているに過ぎない。」
のだと語ります。

p70 すべての悩みは「対人関係の悩み」である

世界にひとりきりで生きているのなら孤独とは思わない。
周囲に人がいて、そこから外されていると感じるからこそ孤独を感じる。
誰かと比べて容姿がよくないから・学歴が低いから、成功できないと思う。
自分の不幸を武器に、「特別」であろうとしているのだと、哲学者は言いました。

p91 人生は他者との競争ではない

p92 われわれは「同じではないけれど対等」 

 違う人同士が関わりあって生きていくこの世界で、悩みのない人生なんてありえない。
だからこそ、口実を用意して今の現状の原因を他人のせいにするのをやめようと語りかけます。
そのライフスタイルを選択したのは、ほかでもない「自分自身」なのだと認め、自立しようと。


嫌われることを恐れてはならない

「わたしのことを嫌うかどうか」は他者の課題。
他者の希望を満たすような生き方をしているから、自分が上にいるのか下にいるのかが気になり、いつの間にか自由ではなくなってしまうのだと哲人は説きます。
p163 他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを怖れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない。
p178 対人関係のゴールは「共同体感覚」
自分の生き方を貫いて、肯定する人がいても、否定する人がいてもそれでいいのだと思う。
周囲の存在は「仲間」であり、自分はその一部である。相手は自分より上でもないし、下でもない。横にいるのです。


与えられたものは変えられなくても、どう使うかは決められる

育った環境、生まれ落ちた場所は誰にも選べない。そこで与えられたものは最期まで変えることはできないかもしれない。しかし、それをどう使うかはわたしたち次第です。
他者から認めてもらわずとも、自分自身が「誰かの役に立てている」と思えるかどうかでいい。

いま、ここを真剣に・丁寧に生きる勇気を持つこと。
自分の人生に自分で意味を持たせること。

世界、そして生きることはシンプルなのだとついに青年は納得し、ゆっくりと雪景色の道を歩いていくところで本は終わりをむかえました。



感想         

私がこの本に出会ったときは、何もかもうまくいかないと感じられ、死にたくなっているときでした。

それまでの人生では、さほど人に嫌われることもなく、わりと優等生な生き方をしていたと思います。学校の成績もよかったですし、多くの人が私を褒めた。なんだか人より上にいる気分だった気がします。
当時は全然自覚がありませんでした。褒めてもらうため・人より優れていると思いたいために行動しているなど考えもしなかった。

その学校でちょっと「できる」だけ。
外のこと、日本のこと、世界のことなど知らない、カエルでした。

社会人になってから、誰かから褒めてもらうことがなくなりました。
仕事をすることは当たり前のことで、何かを頑張ればたいていのことはやりがいが持てると考えていた私は、自分のことがわからなくなりました。
資格を取ればもっと満足できるだろうか?
そもそも何がやりたかったのかがはっきりしない。
何をすべきなのかと考え、選択肢が選べない。

まさに、人の価値観に左右されて生きていたということです。
自分自身がどうしたいかを本気で考えたことがなかった。そして、誰かのために行動すること、一生懸命であることがどういうことなのかがわからなかった。人に気に入られたい・嫌われないために生きていただけだったことがわからなかった。
今までなぜ自分に自信があったのか?こんなにも自分はダメなのに、どうして生きていられたのか?

たまたま本屋さんに入り、すでに人気だったこともあって見えるところに置いてあったこちらの本。なぜかどうしても欲しくなって、初めて活字の本を自分のために買いました。
これを読んで、「青年が抱く気持ちすべて、自分のことだ。」と共感しながら、哲人の言葉に癒されたのを覚えています。

おかげさまで、「嫌われる勇気」が何なのか、わかってきました。
この勇気は、自己中心的になれということではないと解釈しています。
相手のことを認め、自分のことも認めてあげるような勇気。そういう感覚です。

もちろん色々なことがあるし、自分の信じたものが他人からすれば受け入れられないもののこともある。結果、嫌われることもある。でもそれを恐れる必要はなくて、それでいいのだと思えています。

自分の行動に責任を持つよう、努力することが大事なのだろうと思います。

別の話になりますが、自殺しようとしていた女の子が、この本を読んで思いとどまったという記事を読んだことがあります。それくらい、インパクトがあったのでしょう。思わず「うんうん、それくらい力のある本だよね。」と声が出ました。

インターネットやSNSがあって当たり前の世界で、”心”を育てるためにきっと役立ってくれると思います。学校の図書館に置いてほしい一冊です。



まとめ       

  • あなたの不幸は実はあなた自身が選んだものだ。
  • 他者の人生を生きることをやめて、嫌われる勇気を持とう。
  • あなたは世界の中心ではないが、大切な世界の一部。
  • 他者に貢献する生き方で自分を肯定しよう。
悩める青年がどのように哲人と言葉を交わしていくか。
対話形式の読みやすい1冊となっていますので、ぜひ読んでみてください。
ご紹介した言葉以外にも、指針となる言葉がたくさんちりばめられています。

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