IKIGAI The Japanese Secret to be a Long and Happy Life

 フランス人がまとめた日本長寿の秘密

今回は洋書のご紹介です。

インド人の友人が好きだと言っていた本で、"IKIGAI The Japanese Secret to be a Long and Happy Life(Héctor Garíca and Francesc Miralles/Translated by Heather Cleary)"という本です。

著者はフランス人の方で、日本在住歴が長い方。日本人がよく使う「生きがい」という言葉を切り口にして、長く幸せに生きるためにどう行動したらいいかを説明してくれています。

こんな人におすすめ

  • 外国人からみた日本人について知りたい人。
  • 生きがいについて考えてみたい人。
  • 長寿であるためのメソッドを知りたい人。

本の概要          

文章の構成

英語で書かれていますが、非常に易しい英語です。Non Nativeとしては読みやすくて助かると思います。
centenarian(100歳以上の)、longevity(長生き)がキーワードです。

日本の中でもとりわけ長寿な沖縄県大宜味村の住人達の暮らしや考え方の中に、長く幸せな人生の極意を見つけ出そうとした1冊。
「生きがい」という言葉にあたる英語訳が実はないのだ、という話から始まり、長寿であること、かつ幸せであることを実現するためにはどう行動するべきか?を広くまとめてくれています。

生き甲斐の言葉の意味を解説しているわけではなく、どちらかというと「健康で長寿」な状態であるための工夫についてが中心です。


日本の言葉を多く引用

生き甲斐、腹八分、など、日本の言葉がそのまま登場します。
それを英語で解説しているので、面白いです。
日本人が日本語で理解していることを別の言語に翻訳された形で読んでみると、「そうか、そういうふうに考えたことはなかった!」と新たに気づきをくれたりもします。

また、内観や瞑想など、海外でも注目されている”禅”の考え方を解説しています。
最近は、多くの国で瞑想が取り入れられているので、この本にもその一端をみることができるでしょう。


大宜見村の住人の特徴

簡潔に言うと、

Be Optimistic.

楽観的に生きることがコツのようです。
著者らが行ったインタビューに対する住人たちのコメントは、簡潔で清々しいものです。
(p112~引用)

  • 心配するな
  • 良い習慣を作ろう
  • 毎日友だちとの付き合いを大切にしよう
  • 生き急がない
  • 楽観的であれ


また、野菜中心の食生活や笑いの絶えない生活、自分がやりたくてやることで忙しい毎日も大切な要素であると解説されています。
決して、やらされてやることではない。能動的で活動的な毎日が、健康な長寿の秘訣であると語ります。


仕事・人生との向き合い方

幸せに生きていくには、仕事の選び方も重要です。こちらの本では適度な状態を保つことを

Flow

と表現しています。
(p58~引用)
    1. 難しいタスクを選ぶ(ただし難しすぎないこと)
    2. 明確で具体的な目標を持つこと
    3. 1つのタスクに集中すること

        その他、Flowであるために必要な要素や、日本におけるFlowの例(匠、技術職、オタクなど)、スティーブ・ジョブズも好きだったという京都のお話なども登場します。

        このパートを読むと、日本のことを肯定してくれている気がしてうれしくなるでしょう。



        感想           

        沖縄大宜見村の方々の生き方は、まさに理想と言えます。毎日を大切に、楽しく生きようとしている。

        わたしは、日本人が長寿であることはどこか良くないもののようにとらえていました。医療の発達によって生きながらえている側面もあるのではないかと考えるからです。
        また、仕事に関しても、生き甲斐を持てていないと感じている若者が多いと思っています。沖縄の大宜見村の生き方は、日本人ではあるけれど、違う国の考え方のようにすら思える。

        ただ、著者らは日本のいいところをたくさん示してくれました。

        大宜見村に限らず、日本にある「生き甲斐」という考え方は素晴らしい。
        食事も健康的だ。
        医療福祉が身近にあり、すぐ相談できる。

        自分の国なのに、ダメなところばかり見ていたのかもしれない、と思うようになりました。すべて一長一短のあることなのだから、もっと楽観的になってもいいんだと教えてもらいました。

        もちろん、危機感を抱くこと、ハングリー精神があることがもたらす力も間違いなくあります。しかしどの偉人たちも述べていることが多いですが、

        「若い時にがむしゃらに努力したおかげで得られたものはあるが、どこかで家族に迷惑をかけていたり、自分自身の体に負担をかけていたと後から知った。」

        長く幸せに生きることは、自分に負担をかけすぎては得られないのだと思います。
        長く生きることより、結果が欲しいと願う人もいるでしょう。どちらがいいのかは人それぞれが選べばよいことです。
        ただ、どちらにしても「生き甲斐」を持つことだけは変わりません。
        生きていると実感できる何か。
        自分にとっての生き甲斐を探究していきたいと思います。


        まとめ          

        • 沖縄県大宜見村の人々から長寿の秘訣を学ぼう
        • 生き甲斐のある人生は長寿につながる
        • 良い習慣・良い人間関係を築こう


        その他、本の終盤はアジア・中国の太極拳の紹介、世界のご長寿のコメントも記載されています。日本のことだけでなく、生き甲斐のある人生を歩むためのコツを広くまとめてくれていますので、ぜひ読んでみてくださいね。





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