NHK出版 学びのきほん ブッダが教える愉快な生き方

生きることは学ぶこと

学ぶとはどういうことか。

今日ご紹介するのは、「当たり前の日常こそが学びの道場」であると教えてくれた本で、”NHK出版 学びのきほん ブッダが教える愉快な生き方(藤田一照著/NHK出版)”という本です。


こんな人におすすめ

  • 人生を愉快に生きたい人
  • ブッダの考え方を知りたい人
  • ”赤ちゃんの学び”について知りたい人



本の概要        

文章の構成

著者である藤田一照さんのやさしい語り口で進みます。

穏やかな気持ちで読み進めることができるでしょう。

ところどころ、ブッダに関する書籍の引用をしながら、ブッダが辿った覚り(さとり)への道を解説していきます。



ブッダの生涯に学ぶ愉快な人生

『箱入り息子だったゴータマ・シッダールタは、両親に大切に大切に育てられ、屋敷の外には出ることがないまま17歳を迎えようとしていました。

17歳で親の決めた結婚で妻と子どもを得て、将来はずっと安泰…となるはずだったのです。

しかしある時、偶然初めて外出することになりました。そこで老・病・死の苦しみを見ることとなり、彼の苦しみが始まります。いずれ必ずむかえる死の前には、生きることが苦悩だと考えるようになりました。』



箱入りということで、けっこうな我儘な性格の人間だったのかと思いきや、白いキャンバス状態で育ったようですね。

苦しみが世界に広がっていることを知った彼は、いつか出家して苦しみを楽にする道を見つけたいと願うようになります。



ところが両親は、なんとか留まらせようと享楽的な生活を提供。それにも負けずに、シッダールタは29歳で出家することとなりました。


簡単に彼の目指す解放が得られたわけではありません。

人生の真理を追究するうえで必要だと考えるものがどうやっても得られない。

メソッドをマスターするだけでは実存的問題の深みに至れないことを知ります。



山に籠って徹底的な苦行を自分に与えましたがそれでもダメ。瞑想もダメ。絶食もダメ。

そして7日間座り続けたところで…ゴータマ・シッダールタはようやく覚りを開きます。

誰でも自分の中に悪魔・煩悩がいて、自分が悪魔であることに”気づく”。そこからが本当の修行で、生きることすべてを修行にして生きていくのだとわかった。

p.396私たちは、縁起という働きのネットワークからたまたま生まれた存在です。


単独で孤立的に生きているのではなく、すべてのものとのつながりに支えられている縁起的存在なのだと知る。そして、生かされている命だと。

生きて、老いて、病になり、そして死ぬということは逃れられないことだけれど、これらの苦しみを理解して受け入れて生きるのだと決めればよいと言います。


生きる条件として受け入れたら、愉快に生きられる。

彼はついに成仏(ブッダ)へと至ったのでした。



がんばらない

学校の勉強のように、がんばる必要はないのだと著者は語ります。


生きることが学ぶことで、学ぶと世界が広がって豊かになる。自分自身が変化して、その前には戻れなくなる。赤ちゃんが自然と親から学ぶように、オーガニック・ラーニングをすることを著者はすすめています。


何かを求めてがんばるのでは、自然と心身が緊張してしまう。起きていることをそのままに受け入れて、リラックスした状態を保とうというのですが、いったいどういうことでしょうか?



doingからbeingになる

ここで、禅の考え方が紹介されていきます。

「そのままに受け入れる」というのは、

「ある望ましい状態に向かって強制的に進もうとするのではなく、本来のおのずから調っていこうとする働きに任せて、邪魔をしない・余計なことをしない」

ということを指すようです。

p.818修行というのはいわば発酵現象のようなもの

p.854(問題に直面した時)「闘う」でも「逃げる」でもない、第三の道を示しています。それは、「触れてよく観る」ということです。


日々、面倒なことはたくさんあるのです。そんな諸々をまずは受け取ってみる。

そして自分の中に立ち上がってくる抵抗や執着をはっきり識別して減らす術を持つ。


痛みに抵抗するから苦しいのであって、できるだけ執着しなければ、幸せは近づくのだと教えてくれます。



感想         

ネガティブなイベントは起きて当たり前なのだと構えておけば、確かに対処するときには冷静でいられますよね。恐れるのではなく、気持ちの準備をしておくこと=覚悟=さとりなのかなと思いました。


働かされている感覚にならないで、自発的にやってやる!となれば、何事も愉快になるでしょう。自分の人生はRPGのようなもの。そこでどう立ち回ってやろうかと考えるほうがきっと楽しいですね。


個人的には、問題に直面した時に「触れてよく観る」という道が気に入っています。1つの感覚だけじゃなくて、触覚も含めて全部使って、理解しようと努める。答えが偏ったものにならずに済む気がします。


自分の中の悪魔と、よいお付き合いをしていきたいものです。




まとめ         

  • 当たり前の日常が聖なる道場
  • 努力至上主義じゃなくていい
  • どんな状況も自分で愉快にする


読んでいると、自然と気持ちが穏やかになる、そんな本でした。ぜひ読んでみてくださいね。


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