思考の整理学~考えること・学ぶことを楽しくさせてくれる本

刊行から40年近く経っても褪せない魅力

2022年のゴールデンウィークも終了となりますね。みなさんのお休みはいかがでしたか?

今日ご紹介するのは、初版が1986年!古い本ですが、書かれている内容があまりにまとまっていて、私のとても好きな本です。

”思考の整理学(外山滋比古著/筑摩書房)”を読むと、「考える」ってどうすればいいのか、そのヒントを得ることができます。


こんな人におすすめ

  • 深い思考力を身につけたい人
  • 学びをもっと楽しみたい人



概要         

文章の構成

東大・京大生協の調べによると、2017年の文庫ランキングで最も読まれた本がこちらの本だそうです。

内容は難解なのかと思いきや、全然そんなことはありません。


著者である外山さんの語り口は非常にわかりやすく、「である」調でありながらあまり強さは感じません。たとえ話は誰にでも共通するようなお話ですし、1つ1つの項タイトルは実にシンプルで、1テーマの文章量も多くないと思います。さらっと読めてしまう構成です。


一方で書かれている内容は「思考を深める」ためのキーワードがぎっしり。どの言葉も見逃せない一冊になっています。



イチオシのメッセージ集

「なるほど!」と思う部分は人それぞれだと思います。ここでは、私のイチオシとしていくつか引用していきます。


P17:あえて教え惜しみをする。

最近の教育は”教えすぎる”と語られていたのは、このころも同じだったようです。

詰め込み教育がだめだと言ってゆとり教育をしていた時期もありましたが、勉強したい意欲があるならばどこまででも詰め込めばいいはず。

詰め込み教育は、意欲をそぐほどに無理やり詰め込むことや、はじめから意味を押し付けて「正解」だけを導かせるようにすること、そして疑問・興味を抱かせる余地を与えないことが問題なのです。

あえて教え惜しみ、好奇心が向いて「わかりたい」と感じるように仕向ける。ぜひ真似したいですね。



P41:努力をすれば、どんなことでも成就するように考えるのは思い上がりである。

何事も一朝一夕では叶いません。努力が必要でしょう。

できないことを叶えるには時間をかけるしかない。

ただ、集中してやり続けた先に得るものもありますが、いったん寝かせて目を離した後に見えてくるものもある。

「無意識の時間の威力」、そして「努力の仕方」について教えてくれています。



P58:発想のおもしろさは、化合物のおもしろさである。元素をつくり出すことではない。

クリエイティブになろうとするとき、何かをゼロから生み出そうとして苦しみます。しかし実際にはゼロからいきなり生み出されるものは少ない。

既存の考え方、スキルが組み合わさるからこそ面白くなるのです。1つ1つは平凡でも、組み合わさったら唯一になるかもしれない。そんなメッセージを感じます。



P66:こういう行きがけの駄賃のようにして生れる発見、発明のことを、セレンディピティと呼んでいる。

思いがけない偶然から導かれるものをさします。人間の意志のちからだけでは成せないことがあり、無意識の作用が実は重要であることを説きます。

東大教授であった筆者が言うのですから、地頭の良さだけで解決できないものはたくさんあるのでしょう。



P150:ピグマリオン効果をあげる。

まわりになんだかんだとうまく褒めてくれる人がいれば、人は案外といいアイディアが出ると言います。

いい空気のところで、人と交流をもって、気を許していられる場所。そんな場所を用意してあげること、そして自分もそんな場所に身を置くことができれば、自分も相手もハッピーでクリエイティブに近づくかもしれません。

さらに、なるべく縁のうすいことをしている人が集まったほうが、いい触媒効果が働くそうです。

多種多様な職種、人種、背景を持った人たちと関わって、会話をする。これは固定観念を作らないことにもつながりそうですね。



感想         

自分があまり地頭が良くないほうだと自覚があるからこそ、いつも頭の良い人たちの思考が気になってしまうんですよね。昔は劣等感からだったけれど、今はわくわくするような興味が向いています。

今からでもできることあったらいいな~という気持ちなのです。


「思考の整理学」では、あっさりとシンプルに書かれているわりに、なるほど!と思わずにはいられないインパクトのある言葉たちがたくさんありました。


なぜセレンディピティのような現象や、他人との会話から触媒作用が生まれるのか?より詳細な理論が知りたい方は、もう少し掘り下げた内容の本も併せて読むと理解が進んで楽しいと思います。



まとめ        

  • 思考を整理するにはいったん「寝させる」ことが大切
  • 頭を働きやすくする環境を整えよう


学生さん、社会人問わず楽しめる1冊になっていると思います。ぜひ読んでみてくださいね。

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