The Legends of King Arthur : 10 series

 アーサー王物語を簡単な英語で読もう

私はもともと世界各地の古代神話がとても好きなのですが、アメリカ人のお友達からぜひ全体を読んでみてとおすすめされたのがアーサー王物語でした。

あらゆるゲームにアーサー王のエッセンスが入っていること(キャラクター名、武器、ストーリーなど)は知っていたのですが、そういえば全体を読んだことがないと気づきました。

そこで検索したところ”The Legends of King Arthur(Tracey Mayhew/SWEET CHERRY PUBLISHING)"という10シリーズを発見。とても面白かったので、ここで紹介します。



本の概要        

文章の構成         

全編英語です。しかし1冊1時間以内くらいで読み終わる難易度にはなっています。英語圏だと小学校くらいの子ども用とのこと。Non-nativeとしては読みやすいのでありがたいです。難しめの単語も何度か出てくると覚えてしまうと思いますね。


挿絵はさすがアメリカ…というなんともゆるい線のタッチで描かれた挿絵。スヌーピーのシリーズとよく似ています。個人的にはGuninevere(グネヴィア)はもっと絶世の美人感が出ているのだろうと思っていたのに…むしろ怖い。そんな仕上がりです。


古代の神話になると、著者によってさまざまな解釈がなされ、オリジナルのストーリーが加わっていることもあります。何度もリテイルされているうちに、物語が変化してしまうようです。今シリーズはおおむね本来の物語通りだろうと思われますが、物語の大筋をつかむ気持ちで読んでください。

これで興味が持てれば、より詳細に描かれた本にも挑戦できるでしょう。



各タイトルごとのあらすじ   

10冊のおおまかなあらすじを載せておきます。


1:No Ordinary Boy(普通じゃない少年)

こちらはアーサーが誕生する前のお話。

不思議な力を持つ子どもだったマーリンが、王の命令でやってきた怪しげな男Maganに導かれ、Tortigernに向かいます。

イギリスという国の建国に関わる重要な出会いのお話です。



2:The Dark Sorceress(暗黒の魔女)

家も家族も失った悲しい女性、Morganの物語。

戦争により父を殺され、母も父を殺した男に奪われたMorgan。彼女は復讐のために闇の魔法を習得するのです。

Morganの父を殺した男こそ、アーサーの父親であるユーサー・ペンドラゴンでした。



3:The Sword in the Stone(岩に埋まった剣)

私がまず読んだのはこのエピソードでした。アーサーがBriton(イギリス)の王として認められるかどうかという重要なパートです。

農夫Ectorの息子として匿われて育てられたアーサーが、兄のKayと共に石に埋まった剣を抜く大会へと赴きます。そこでひと悶着が発生。もともと乗り気だったのは兄のKayだけだったので、事態は思わぬ方向へと進みます。



4:Twelve Rebel Kings(12人の反逆王)

成長したアーサーが、かの有名なエクスカリバーという剣を手に入れ、裏切り者を排除し、イギリスをまとめていきます。

ここでアーサーはGuninevereに出会い、結婚し、円卓を与えられるのです。

「円卓の騎士」として伝えられる、有名な騎士たち。

まずその12人がここで集結するのです。



5:Gawain and the Green Knight(ガウェインと緑の騎士)

円卓の騎士の一人、Gawainのストーリーです。

様々な騎士が登場するのですが、Gawainは人気の1人。円卓の騎士の中でどうにか成り上がりたいと考えていた彼に、緑の巨人の騎士と対決をするという絶好の機会がやってきました。

実はこの試練には裏があり…Gawainは騎士として認められるのか否か?注目です。



6:Tristan and Isolde(トリスタンとイゾルデ)

これは、もともとはアーサー王の物語ではなかったとされています。

長い歴史の中で、アーサー王のストーリーに組み込まれていったと言われています。

いったんアーサーのことは横に置き、彼らの恋の物語が描かれています。


敵を討ち果たしたものの、毒の槍を受けてしまったTristan。その治療のためにアイルランドへと渡った彼は、そこで運命の相手Isoldeと出会います。



7:Lancelot(ランスロット)

円卓の騎士の中で人気ナンバーワンのLancelot。騎士たちの中でもっとも強いキャラクターです。

そんな人気者のLancelotにも悩みがありました。それは…敬愛する王アーサーの妻に恋してしまったということ。彼の苦しみに魔女Morganの悪の手が迫ってきていました…



8:The quest of the holy grail(聖杯の探求)

Holy Grailは、中世の伝説で、キリストが最後の晩餐に用いたとされている酒杯です。イギリスの歴史にキリスト教は欠かせません。

第8作では、聖杯を探すために旅をする騎士たちの様子が描かれます。Melias、Galahad、Percival、Bors…騎士たちの中で、誰が聖杯を手にするのか?最後まで驚かされるお話になっています。



9:The Death of Merlin(マーリンの死)

長らくアーサーのために知恵を授けてきた魔法使いMerlin。アーサー・国一筋で生きてきた彼にも心が温まる出会いが起こります。

Merlinには予知の力がありました。人の運命を見ることができる力です。MerlinはNimueという女性との幸せな日々、そして何かに殺されるという夢を見ます。


啓示により、アーサーのもとを去らねばならないと決めたMerlin。彼が見つけた愛と死のお話です。



10:The Fall of Camelot(キャメロット陥落)

愛するGuinevereが攫われた。

ここからアーサーの人生は狂い始めます。無事助け出したにもかかわらず、兄Kayを失い、Merlinを失って、さらにはGuinevereの心も…

アーサーに復讐を誓うMorganも登場し、ついにアーサー王がBritainを去る。そこに至るまでの苦しくせつないお話になっています。



感想          

すでに多くの人がそのお話を知っているであろうアーサー王物語。

イギリス建国の英雄とされているアーサーは、なんだかこの物語の中では実にかわいそうな人物に見えてきます…生まれ落ちたら王の子どもだったということ、Merlinに見いだされて生まれた時から次代の偉大なる王として生きる道に進むしかなかったということ、愛を奪われても人を恨み切れなかったこと…


古代の神話は不倫・裏切りだらけであることがほとんどです。アーサー王もそのエッセンスを含んだ物語になっています。しかし、神たちのような無敵さは感じられず、どこか物悲しく、強さも感じさせません。あくまで「人」であるように思います。


アーサーは死んでいない、とも信じられています。いつか国が必要としたとき、アーサーは戻ってくるのだ、という言い伝えがあるそうです。また、アーサーのような人格者になりたい、という人たちの集まりもあるとのこと。壮大なフィクションであるとは思っていますが、ちょっと信じてみたくなりますね。


いつか世界が必要としたとき、偉大なる王が帰還する…中二病!

というわけでなく、本当に信じている人たちもいるという事実。ゲームを見る目も変わってくるかもしれません。



まとめ         

  • アーサー王伝説を簡単な英語で読もう
  • 円卓の騎士たちのエピソードも注目
  • 子どもと一緒に楽しもう


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