話を聞かない男、地図が読めない女
男と女は違う。それでいい。
今日ご紹介するのは、少し昔に出版された本になりますが、”話を聞かない男、地図が読めない女(アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ著/主婦の友社)”という本です。
男女差別やその他さまざまな差別に対し、ポリティカル・コレクトネスを行使しようという時代。すべてを同じように平等に・平均に整えようとする前に、違いを知って受け入れることにチャレンジしてみましょう。
こんな人におすすめ
- 男女の違いについて知りたい人
- 夫婦間のトラブルを解決したい人
概要
文章の構成
和訳が自然です。男女の性欲に関するところでは、使っているワードが今っぽいというか、よりわかりやすいと思います。
最近の男女の違いについて書かれた本の原典のようなものにあたるでしょう。むしろこの本のコピーなんじゃないかというくらいです。
こちらの本は人類の進化の流れ・脳の構造・科学的な実験からわかっていることを中心に紹介し、男性と女性の違いを紹介してくれています。そしてその結果どんな行動が生み出されているか?例として登場する場面はまさにリアル。お互いの理解できなかった行動の理由が見えてくるでしょう。
政治や道徳においては男女平等です。しかし科学的には本質的な違いがそこにあります。
男の人はこんな人
この本の中で紹介されていた男性の主な特徴を列挙してみます。
- 力や地位を求める。
- 遠くは見えるが、近くが見えない。
- 一度に一つのことしかできない。
- 批判されることが大嫌い。
- ストレスが加わると黙る。でも自分の内側で一生懸命しゃべって解決策を探している。
- 様々な相手と性行為をしたい。
男性は古来より狩りをしてきました。もちろん今は狩りなんてしませんが、その時の脳の配線が残っています。獲物を捕らえて家族のもとに持ってくる。それが役割だったとされています。
そのため、力や地位を求めて家族のためにお金を得ようとするのは当然のこと。さらに、役割として1つのことだけ担当していましたから、今でも一度に一つのことにしか集中できない。1つのことに全力投球できるのはいいことですが、いろいろなことを一度にやる女性からみると、いらだたせる原因になることもあるのです。
また、争うのが当然だった世界では、敵が来る前にすばやく性行為を済ませる必要があるので、早く終わらせることがベスト。さらに、多くの子孫を残そうと一夫多妻制という手段をとることが強い男性には必要でした。
ここで、私が経験したことを紹介したいと思います。
『男性が黙って座っているとき、ぼーっとしているだけのように見えたので何気ないことを話しかけ、頼みごとをしようとしました。そうしたらなぜか男性の機嫌がとても悪くなってしまい、ケンカに発展。結局自分が折れるしかありませんでしたが、あまり納得がいきませんでした。だって何もしていなかったじゃない…!』
確かにどうでもいいことを聞いた・後で頼んでもいいようなことを聞いた自分が悪いとは思ったのですが、納得できなかったんですよね。それがこの本を読んで納得。自分と対話をして、何らかのストレスの対象を処理する方法・仕事のことなど…ずっと考えていたときだったのでしょう。
こういうときは、話しかけていいかどうか、内容・用事が何かを最初に提示する。あらかじめアポをとる必要があるわけです。大変参考になる学びでした。
女の人はこんな人
- 関係や協力を求める。
- 周り・左右のことはめざくと見ているのに、車の前後の障害物が見えない。
- 心は決まっているのに他人の意見を聞いてくる。
- マルチトラックが可能。
- 遠まわしで感情に訴える言葉がなぜか通じる。
- 同じ相手とたくさん性行為をしたがる。
女性は育てるのが仕事でした。子どもを産み、自分の所属するコミュニティで情報交換をして、自分の子ども・家族を守る役割。だからこそ、噂話には敏感で、人と関わることを積極的に行ってきました。どうでもいいようなことをべらべらと話し続けることにも、周囲の人たちとの関係性を築くため・情報を得るための意味があったのです。
また、ただのストレス軽減のためにも女性は話をすることを求めます。ただし、聞いてほしいだけで、決して解消してほしいわけではありません。
私自身の経験も紹介します。
『ただ「こんなことがあった。」と言いたいだけだったにもかかわらず、男性がその答え・解決策を与えようとしてきた。話を聞いているうちに自分が不機嫌に。そんな態度を見た男性は、答えを与えてやったのになぜ態度が悪くなったのかと怒りだし、暗い雰囲気になってしまった。こんなことになりたかったわけじゃないのに…。』
対処法がわかっていれば、話を初める前に「ただ聞いててほしい」と言うこともできたでしょうね。相手がどんな風に考える傾向があるのか?時には探り合い、時には率直に意見を出し合い、関係をつくるうえでのルールをつくっていけたらベストですね。
女性を満足させるためには、やらなくてはならないことが本当にたくさんあります。
褒めて、スキンシップをとり、甘やかし、共感し、ときには焦らし、慰め、許し、楽しませ、プレゼントし…
面倒でしょうが、良い関係をつくるには必須です。必要経費と思ったほうが良いでしょう。
脳の配線とホルモン分泌
人間の胎児は女性が基本型になっています。受胎6~8週間からすでに人間の精神の配線は始まっていて、どちらにも分化する可能性を持った状態から、ホルモンの分泌量の違いによって性別が分かれていくと考えられています。
女性っぽい脳を持った男性が生まれる可能性があるし、
男性っぽい脳を持った女性が生まれる可能性もある。
時には両性を持ったり、トランスジェンダーになることだってあるでしょう。
そう考えると、どの性もあって然るべきですよね。
男性は右脳の発達が早く、女性に比べると空間認知能力が高くなる傾向があります。そのため、将来なりたい職業も数学・工業的な方面に強くなりやすい。
一方の女性は空間能力に限度があるため、地図がうまく読めないことが多い。脳内に広く感情領域が分布し、感情豊かになりやすく、人と関わる仕事を選びやすいのです。
だからこそ、男性の多い職場、女性の多い職場はあって当然と言えるでしょう。もしそんな職場でマイノリティ側に回ったとしたら、それはあなたの脳が逆の性の特徴を持っていて、うまく適応しているからかもしれません。
古代ギリシャではホモセクシャルは容認されていた
古代ギリシャでは、むしろホモセクシャルは人々からの尊敬を受けていた。少年のような体形は美の理想で、高貴でもあった…
しかし、キリスト教やユダヤ教が同性愛を認めたくなかったため、弾圧される側に回るのです。
非常に興味深い話ですよね。
昨今、LGBTQの権利を主張するデモが行われたり、裁判が執り行われたりしていますが、反対する側の人たちを見ていくと、もしかしたら宗教による軋轢のほうがよっぽど強い影響力を持っているのだとわかります。
役割が違うのだというシンプルな事実
この本で言いたいことをまとめるとするなら、男性と女性は違っていて当たり前だ、ということです。
どちらかが優れているとか、劣っているとか、そういう話ではない。ただ、”違う”のだと筆者は教えてくれています。
そして、こんなにも男性と女性はかけ離れた性質を持っているのに、案外とその関係はうまくいっている。このことは、女性による力が大きいと筆者は語っています。人間関係を円滑にして、まとめあげてくれているのです。その中で、男性が力を発揮しているのですね。
違いがあることをけなし合うのではなく、認め合う。それができるようになれば、宗教の違い、国の違い、人種の違いなど、多くのことをもっと認め合えるようになるのではないでしょうか。そしてそれを、様々な国で実行している人たちが確かにいます。これからの世界がどうなっていくか、楽しみですね。
感想
進化の歴史を辿ると、現代の様々な問題につながっていることが多く、面白いです。「それなら仕方ない、やり方を工夫しよう!」と納得しやすいのではないでしょうか。
こちらの本の中には、自分が女性脳か・男性脳かを調べるテストも紹介されています。質問の内容は現在の自分に必ずしもフィットするものではないかもしれませんが、傾向として自分がどちら寄りなのか?を知ると面白いと思います。ぜひ試してみてください。
ちなみに私は”男性脳寄り”でした。
私たちが知的活動を積み重ねていくことで、脳の配線・連絡環境は変化するでしょう。そしてそれが遺伝していく。それが進化として表れるのは数千年先か、数万年先か…わかりませんが、どんな未来がそこにあるか、見に行くことができたらいいのに…と思ってしまいました。
まとめ
- 男性と女性には役割の違いが明確にあった
- 違って当たり前だと知ろう
- お互いを認め合おう
知識があると、相手に優しくなれると思います。2つの性別だけで区切れるものではありませんが、特徴をとらえて対応を変化させるヒントにはなることでしょう。
※しばらくブログの更新ができておりませんでした。ここからまた投稿していきますね。どうぞお付き合いください。素敵な本との出会いがありますように。
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