だから私はここにいる 世界を変えた女性たちのスピーチ
強くあろうとする女性たちの言葉
人類の長い歴史の中で、女性たちは常に”差別”にさらされて生きてきました。
それでも、抑圧されながら強い使命感と意志を持って闘い続けていた女性たちが確かにいたのです。
50人以上の世界の女性たちの言葉を集めたこちらの本。”だから私はここにいる 世界を変えた女性たちのスピーチ(アンナ・ラッセル著/カミラ・ピニェイロ絵/堀越英美訳/フィルムアート社)”※英名:SO HERE I AM Speeches by great women to empower and inspire を今日はご紹介します。
こんな人におすすめ
- 歴史を変えてきた女性たちを知りたい方
- 女性の力強いメッセージで勇気をもらいたい方
概要
構成
文章は、まずピックアップされた女性の簡単な略歴や歴史背景の説明から始まります。そして実際のスピーチの内容を掲載。50人以上の女性たちを紹介しています。
魅力的なのは、多くの女性たちの人生や考え方を一気に知ることができるところ。非常に簡潔にまとめながらも、その時代の困難や共通する苦しみを知ることができます。自分たちの時代とも照らし合わせて、彼女たちの人生を追体験できると思います。
また、挿絵が非常に素敵。
絵はカミラ・ピニェイロさんというブラジルのイラストレーターさんが担当してくださっているのですが、カラフルで、インパクトがあって、非常に楽しくなる絵です。
女性たちの美しく力強い姿が表現されているように感じます。
難点があるとすれば、デザインが秀逸な分、字が少々小さいことでしょうか。電子版はあまりおすすめではないですね。紙の書籍で読むほうが、目にも易しく、実際のイラストの色彩も楽しめて良いと思いました。
好きだなと思ったスピーチ
個人的に印象深かった女性たちは以下の方々です。
エリザベス・キャディ・スタントン
フンミラヨ・ランサム=クティ
インディラ・ガンディー
セヴァン・カリス=スズキ
ナオミ・ウルフ
マララ・ユスフザイ
シェリル・サンドバーグ
エマ・ワトソン
マヤ・リン
いずれの活動家の方々も、女性解放運動、LGBTQ問題、黒人差別問題などに対してスピーチをしています。女性解放運動家、ジャーナリスト、作家、政治活動家、裁判所判事など、立場や時代が違っていても、女性たちが訴え続けてきたことには共通項があります。
彼女たちのスピーチには、
「黙っているな。行動せよ。」
という強いメッセージが込められています。
その中で、私のお気に入りはエマ・ワトソンさんとマヤ・リンさん。
エマ・ワトソンさんは、He For Sheの活動にもあるように、男性にだってあるであろう「男らしさを求められるがゆえの苦しみ」に焦点を当て、双方にとっての良き未来につながるよう言葉を述べているのが素敵だなと思いました。
また、マヤ・リンさんの言葉の中には
自らが生きている時代とどのように関わり、反応していくか?
と語っている部分があり、非常に共感しました。自分が生きていく中で、この気持ちを持っていたい…と思わせてくれましたね。
マヤ・リンさんは本書のラストを飾り、
P171 あなたが言いたいことは何ですか?
という言葉で締めくくられています。ラストにふさわしいですね。
少し残念だなと思ったこと
素晴らしい本だなと思いましたが、ロシアの女性やアジアの女性がほとんど登場しないのが残念でした。おまけ的な形で秋瑾さんという女性は掲載されているのですが、ロシア人だなとパッとわかるような人は載っていなかったような気がします。
もしかして昨今の情勢をみて、敢えて避けたのだろうか…と考えてしまいました。
知られていないだけなのか、記録が残っていないからなのか。
まだまだ世界には、”言葉”が眠っているんだろうなと思います。すべてを1冊の本に載せることはできませんからね。
日本では女性が男性よりも2~3歩下がったところを歩くことを美徳としたり、やまとなでしことして家庭を支え、かわいく淑やかであることを求める世代の影響が残っています。
世界の潮流に合わせてそれも変化はしていると考えられますが、もともと島国ですし、閉鎖的ですから、変化は緩やかである気がします。
日本にだって、女性軽視の問題に対して立ち向かってきた女性たち・現在立ち向かっている女性たちがたくさんいます。
自分自身、そのような人たちを応援したいなと思いますね。
まとめ
- 黙って悔しがらず行動すべし
- 対等な人間として誇りを持とう
- 未だ解決されていない差別の問題に関心を持とう
もともと、女性のほうが協調性・社会性は高いとされています。コミュニティに属し、家族を養うために情報を取り入れて上手に立ち振る舞い、あらゆる家事を担って子どもを守ってきた遺伝子がそこにはあります。
それを生かし、男性と同じくらいの教育を受け、妊娠・出産・育児に伴うキャリアへの影響を最小化できれば、世界の可能性はもっと広がるのでしょう。もちろん、今現在でもそれを実現できている人たちはいます。しかし全員ではない。
次元が高すぎて関係ない、という話ではありません。一人ひとりの意識で確実に変革は起きる。自分にできることから取り組んでいきたいですね。
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